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SaaS KPIおすすめ本『SaaSの科学』レビュー評価

SaaS(Software as a Service)は近年注目されている業界で、国内のSaaS市場規模は1.1兆円(2022年)、世界のSaaS市場規模は1,400億ドル(約20兆円)を超えていると言われています。そして、今後の成長率は年間で約19%ずつ成長すると予想されています。

注目されているSaaSビジネスですが、SaaSビジネスの特徴として、ユーザーが継続的に購入・課金するサブスクリプションモデルを前提としたビジネスモデルが挙げられます。

そのため、SaaSビジネス特有のKPIがさまざま提唱されており、それらのSaaS KPIをマネジメントしながら事業運営していくことが求められています。SaaS KPIは経営者だけでなく、マーケティング・営業・カスタマーサクセス・PM(プロダクトマネージャー)・データアナリストなど、SaaSビジネスに関わるすべての人が理解して、それぞれの業務で使いこなしていく必要のある指標です。

SaaS KPI

SaaSのKPIは、ビジネスの成果や効果を評価するための重要な指標です。SaaS業界では、さまざまなKPIが使われています。SaaS KPIの代表例として以下のような指標があります。

MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)

SaaSの収益を測る指標であり、毎月の定期収益の合計です。MRRの成長はビジネスの拡大を示す重要な要素です。

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)

顧客がビジネスにもたらす見込まれる収益の合計です。LTVは顧客の長期的な価値を評価し、マーケティングや顧客獲得戦略に影響を与えます。

CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)

新規顧客を獲得するためにかかる費用です。CACを低く抑えることは、効率的なマーケティングや成長戦略の重要な要素です。

アクティブユーザー数

定期的にサービスを利用しているアクティブなユーザーの数です。アクティブユーザー数の増加は、顧客エンゲージメントやサービスの価値を示す重要な指標です。

これらのSaaS KPIは、ビジネスの状態や成長を把握する上で重要です。ただし、ターゲットとする顧客規模セグメントなどによってKPI水準は異なる場合があります。適切なKPIを選定し、定期的にモニタリングすることで、ビジネスの成功を追求することができます。

SaaS KPIを理解するためのおすすめ本『SaaSの科学 SaaSビジネスにおけるデータ分析』

  • 本・書籍タイトル:SaaSの科学 SaaSビジネスにおけるデータ分析
  • 著者:ぽこしー
  • 出版社:-
  • 出版日:2023/1/8

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SaaSの科学」著者のぽこしー氏は、SaaSデータアナリストを名乗っており、「分析でビジネスに納得感のある選択肢を提案する」をモットーに市場や企業のデータ分析を行っている方です。

機械学習などの専門的なデータ分析手法を使ったり、SaaS企業をさまざまな切り口から分析されています。国内上場SaaS企業のメトリクスダッシュボードも運営されています。

また、TwitternoteでもSaaSに関する情報を発信され、フィナテキストホールディングとのYoutubeスタートアップ企業10Xラジオへの出演もされています。企業での登壇なども行っているそうです。

SaaSの科学』レビュー・感想

SaaSデータアナリストを名乗る著者ぽこしー氏が自身の経験も踏まえて、SaaSビジネスの特徴、歴史、優位性からデータ活用・分析まで幅広くカバーしたSaaS入門書です。

また、経営、マーケティング、セールス、カスタマーサクセス、プロダクト開発といったSaaS事業会社におけるデータ分析のプロセスや手法も解説されているため、SaaSビジネスに関わるすべての人におすすめの一冊です。

パート1 SaaSの概要

パート1はSaaSビジネスの定義から始まり、SaaSの特徴がユーザー視点とSaaSベンダー視点でまとめられています。実際にSaaSが利用されている分野・領域の具体例を豊富に挙げられています。

そして、サブスクリプションモデルの特徴やそれを採用することのメリットなどが整理されています。

また、SaaSビジネスがどのようにデータを活用し、差別化をはかり、次の新しいビジネスをいかに創出していくのか、データを中心に語られているため、新規事業を立ち上げようとしている読者の参考になると思います。

後半には、SaaSがどのように生まれて、どのような背景で広がってきたのか、SaaSの歴史が時系列で書かれていたり、SaaS市場がいかに成長しているのか、実データをもとにまとめられています。

パート2 SaaSビジネスにおける経営メトリクス

パート2はSaaSビジネスの健全性を測る数多くのKPI(経営メトリクス)の定義・計算式が網羅的にまとめられ、それぞれのKPIのビジネス上の意味合いが解説されています。

そして、それぞれのSaaS KPIについて目標水準(ベンチマーク)がまとめられているため、SaaSに関わる経営層やマネジメント層は目を通しておくと良いと思います。

SaaS KPIがお互いどのようにつながりを持つのか、KPIツリーとともに、それぞれのKPIの数字を動かした時に他のKPIがどんな挙動をするのかも丁寧に書かれているため、読者もイメージしやすいと思います。

SaaS会社の新入社員やSaaSビジネスに興味を持った入門者は、パート1、2を読むだけでも解像度が上がるはずです。

パート3 SaaS企業分析の研究事例

パート3は著者ぽこしー氏が実際に行ったSaaS企業分析の研究事例が多数収録されています。具体的には、以下のようなものが挙げられますが、興味のある部分だけ読んでも良いと思います。

  • freeeとマネーフォワードのSaaSメトリクス比較分析
    • 2社のメトリクスの違いや、なぜその違いが生まれているかの要因分析がまとまっています。
  • SaaS企業のバリュエーション方法のシフトおよびメトリクスとの関係性
    • SaaS企業の企業価値が変化してきていることや、市場がどのような指標を気にしているのか相関分析をしています。
  • 海外・国内SaaS企業のファイナンス分析および類似クラスタリング
    • 海外と国内SaaS企業の規模の違いの比較や、財務指標をもとにして似たSaaS企業を海外国内問わず分類しています。
  • 売上成長率とコストとの関係性およびT2D3実現のためのコストシミュレーション
    • 売上成長とコストとの相関分析から、急成長SaaSを目指すために必要なコストをシミュレーションしています。
  • ARR100億円のその先へ!海外SaaS企業のARR1000億円までの成長軌跡の調査
    • 海外のSaaS企業がARR100億円を超えてから1000億円到達までに、どのくらいの水準で成長しているのか、豊富な企業データから分析しています。
  • SaaSベンダー企業化へのシフトは簡単なのか?
    • Adobeサイボウズ、弁護士ドットコムの事例から、どのようにSaaS企業に変化したのか紐解いています。

パート4 SaaSビジネスを加速するデータ分析

SaaSビジネスにおいて、実際の現場でどのようなデータ分析が必要なのか、著者の経験を交えて体系的にまとめられています。

データ分析をする時の注意点などが専門家以外でも分かりやすく丁寧に解説されています。

また、マーケティング・セールス、カスタマーサクセス、アップセル・クロスセル、プロダクト開発など、職種・分野別にどのようなデータ分析が力を発揮するのか、データ分析の具体例が載っているので、データアナリストに限定せず、SaaSビジネスの実務に関わっているセールス・マーケター、カスタマーサクセス、PMなど幅広い読者の役に立つと思います。

パート5 SaaSビジネスへの外部データ活用の可能性と研究事例

パート5は、著者ぽこしー氏が行った外部データを活用した分析事例がまとめられています。

ネットワーク分析やSaaSのユーザーレビュー・口コミデータの分析を行っていますが、やや専門的な内容も含まれているため、興味のある読者だけ読めば良いと思います。

 

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